2022 年 12 月 14 日
Joey Trotz
プライバシー サンドボックス担当プロダクト管理ディレクター
はじめに
プライバシー サンドボックスの目的は、オープンで自由なインターネットにおいて、ユーザーの行動のプライバシーを守ることです。そのため Google は、広告業界と連携してプライバシーに配慮した新しい広告テクノロジーに移行しており、2024 年下期には Chrome でのサードパーティ Cookie のサポートを終了する予定としています。
プロダクト リーダー、CTO、CMO、CEO のどの立場でも、社会のプライバシー意識が高まる中、どのように広告を使用したらよいかを理解し、ビジネスの成果とユーザーのプライバシーの双方を最適化できるソリューションを用いることが求められています。
2023 年は間違いなく、サードパーティ Cookie のない時代に備えるうえで重要な年になるでしょう。このガイドでは、Cookie のない未来において、広告の関連性を保つうえでどのような広告エコシステムが機能するかについて見ていきます。
- 関連性の高い広告を表示するために使用するデータに関して、何が変わるか
- 広告テクノロジー ソリューションは、サードパーティ Cookie なしでどのようにインタレスト ベース広告を提供できるか
- 機械学習は、プライバシーに配慮したシグナルを用いてどのようにパフォーマンスを最大化できるか
関連性の高い広告を表示するために使用するデータに関して、何が変わるか
インタレスト ベース広告(パーソナライズド広告ともいいます)は、個人の興味や好みに関する情報を使用して、さらに関連性の高い広告を表示するタイプの広告です。この種の広告は、ユーザーが見たコンテンツ、ユーザーが最近見たサイトのパターン、以前アクセスした特定のサイトなど、さまざまなデータをシグナルとして使用し、表示する広告を決定します。
現在こうしたシグナルは主に、個々のデバイスに固有のサードパーティ Cookie など、クロスサイト識別子によって実現しています。サードパーティ Cookie が段階的に廃止されることから、インタレスト ベース広告の広告テクノロジー ソリューションは、関連性の高い広告を表示するため、プライバシーに配慮したシグナルを利用するよう進化する必要があります。これには、ファーストパーティ データ、コンテキスト シグナル、プラットフォームが提供するプライバシー保護 API(Topics API、FLEDGE API、Attribution Reporting API など)が含まれます。これらの API は、サイト間トラッキングから保護しながら、広告業界の重要なユースケースをサポートするのに役立ちます。
インタレスト ベース広告は、エコシステム全体で開発された革新的なテクノロジーを通じて生き残り、発展するでしょう。こうしたテクノロジーによってユーザーのデータが適切に保護されるようになる一方で、広告は引き続き、ダイナミックでオープンなウェブに対応したマーケティングで成果をあげることができます。
広告テクノロジー ソリューションは、サードパーティ Cookie なしでどのようにインタレスト ベース広告を提供できるか
現在、インタレスト ベースの広告主は一般的に、広告テクノロジー プロバイダを通じてキャンペーンに以下のような項目をセットアップしています。
- 目標: 広告主がこの広告キャンペーンで達成しようとしているビジネス上の成果。目標を使用して、最適化する対象を広告プラットフォームに伝えます。たとえば広告主は、子供服のウェブサイトでの売上を伸ばしたいと考えることもあるでしょう。多くの場合、それらの目標はクロスサイト コンバージョン タグやアトリビューション レポートを通じて測定されます。
- オーディエンス: 広告主がリーチしたい人。広告主が広告によくマッチしそうだと考える人を広告プラットフォームに伝えます。たとえば広告主は、子供服に関して現在購買意向の強い新規顧客にリーチしたいと考えるかもしれません。
- プレースメント: 広告主が広告を掲載しようと考えているウェブサイト。広告在庫や広告在庫のカテゴリで、広告の掲載が許可される場所を指定します。たとえば広告主は、さまざまなウェブサイトにわたって広告を掲載することもあれば、希望するオーディエンスにリーチする可能性の高い特定のウェブサイトを選択することもあります。
- 予算と入札:広告主が、インプレッションの配信、広告クリック、広告コンバージョンのような特定のアクションにかける金額。キャンペーンが目標の費用要件を満たすようにします。たとえば広告主は、最大 1,000 ドルをかけて最大 2.00 ドルの CPM を支払い、対象オーディエンスと特定のウェブサイトで 500,000 インプレッションを実現したいと考えるかもしれません。
オーディエンス作成の進化
サードパーティ Cookie がなくなった後、広告ソリューション プロバイダは、自社のプラットフォームで関連性の高い広告を配信する仕組みを用いたいと考えるようになるでしょう。現在は通常、オーディエンスを通じて広告の関連性が保たれています。広告主はオーディエンスを使用することで、自社の製品やサービスに関心を持つ可能性の高いユーザーにリーチできます。現在、広告主が使用している一般的なオーディエンスには次のようなものがあります。
- アフィニティ: ユーザーが熱中していることや、ユーザーの習慣、興味に基づいてユーザーにリーチします。
- 購買意向: 最近の購入意向に基づいてユーザーにリーチします。
- リマーケティング: 広告主のウェブサイトに以前アクセスしたことがある人にリーチします。
- オーディエンス拡張: 他のウェブサイトで特定のパブリッシャーのユーザーにリーチします。
サードパーティ Cookie のサポートが終了しても、広告ソリューション プロバイダは引き続き、プライバシー サンドボックス API を含む新しいアプローチでこうしたオーディエンスを活用することができます。
アフィニティ
広告主は現在、アフィニティ(興味、関心)で分類したユーザーにリーチしており、ほとんどの場合サードパーティ データ セグメントを活用しています。これらのオーディエンスは、多くのデータ マーケットプレイスによって提供され、デマンドサイド プラットフォーム(DSP)やデータ管理プラットフォーム(DMP)などのチャネルを通じて広告テクノロジー エコシステム全体で有効になるよう配信されます。
こうしたセグメントは通常、サードパーティ Cookie を使用して個人をトラッキングし、その後カテゴリの分類と、ユーザーがカテゴリの対象かを判断する独自の手法に基づいてユーザーをグループ化して構築されます。
サードパーティ Cookie のサポートが終了した後、アフィニティに基づきオーディエンスを選択する方法は、さまざまなシグナルを使用してユーザーを任意のオーディエンスに含める方法に進化します。プライバシー サンドボックスでは、以下のようなプライバシー保護に関する API を使用して、さまざまな方法でこれを行うことができます。
- Topics API: この API を使うと、興味や関心の標準化された分類方法と、あるユーザーの興味や関心を最近アクセスしたウェブサイトの種類に基づいてデバイス上で分類する一般的な方法を利用できます。広告テクノロジー ソリューションが Topics API を呼び出せば、特定のユーザーの興味や関心を得ることができます。この際 API では、プライバシー保護のため、考慮する閲覧履歴の長さ、特定のトピックにアクセスできる人、返すカテゴリの数などを制限することができます。この API は、パブリッシャーとの直接的な関係やコンテキスト最適化機能のない広告テクノロジーを利用している場合に特に有効です。
- Topics API とコンテキスト データ: ユーザーのトピックとページのコンテキストを比較してユーザーのアフィニティをさらに推定するという高度な方法もあります。たとえば広告テクノロジー ソリューションは、特定のトピック(アウトドア活動など)に興味を持つ人は特定のカテゴリのページ(グリル料理に関するサイトなど)にアクセスしたとき指標を上回る可能性があるということを学ぶことができます。機械学習モデルをトレーニングすることで、Topics API で「BBQ とグリル料理」がトピックとして返されなくても、「アウトドア活動」のウェブサイトの訪問者がグリル料理に興味を持っている可能性があると予測できるのです。この方法は、バイサイド広告テクノロジーにコンテキスト最適化機能がある場合に特に役立ちます。
- FLEDGE API: この API を使用すると、広告テクノロジー ソリューションは、ウェブページの訪問者を「家族旅行に興味がある」などの特定のセグメントのメンバーとしてラベル付けすることで、オーディエンス セグメントを作成できます。広告技術ソリューション プロバイダがパートナー ネットワークに「家族旅行」に関連する他のウェブサイトを所有している場合は、それらのサイトの訪問者も同じセグメントに追加できます。FLEDGE は、ユーザーのオーディエンス セグメントへの割り当てをデバイス上に保持し、同じユーザーが複数のインタレスト グループに属しているかどうかを広告テクノロジー ソリューションに共有しないことで、ユーザーのプライバシーを保護します。また、クロスサイト トラッキングも制限されます。この API は、広告テクノロジー ソリューションにサイト提携のネットワークがある場合に特に有効です。
広告テクノロジー ソリューションはこのような方法で、クロスサイト ユーザー識別子を使用せず、拡張したアフィニティ オーディエンス セグメントを提供することができます。また、広告テクノロジー ソリューションは 1 つの方法に限る必要もありません。パブリッシャーとの関係、広告主との関係、機械学習機能に基づいて最適なものを使用できます。
購買意向
現在、広告主は「アフィニティ」に基づくオーディエンスにアクセスするのと同様の方法で、サードパーティ Cookie セグメントを使用して「購買意向」のある「インマーケット」ユーザーにリーチしています。ユーザーが「調理器具」などの商品のインマーケット ユーザーに分類されるか、単に料理に関心があるだけなのかは、広告ソリューション プロバイダ独自の分類と方法論によって異なります。
サードパーティ Cookie のサポートが終了した後、プライバシー保護に関する API から購買意向の強いオーディエンスの作成に使用する新しいシグナルが提供されます。代わりの方法には次のようなものがあります。
- Topics API: アフィニティ オーディエンスにこの API を使用する場合と同様に、インマーケット オーディエンスに使用する場合も、デバイス上の一般的な方法と分類に基づいて、特定のユーザーの購入意向を近似できるトピックを返します。これらのトピックを生成するための標準化された 3 週間のルックバック ウィンドウにより、広告ソリューション プロバイダに提供されるデータの総量が制限され、ユーザーのプライバシーが保護されます。しかし製品やサービスのカテゴリが異なれば検討するサイクルも数日から数か月と異なります。そのためこの API は、お客様の購入サイクルとトピックのルックバック ウィンドウが一致する広告主に役立ちます。
- FLEDGE API: アフィニティのユースケースと同様に、この API を使用すると、広告テクノロジー プラットフォームは「自動車購入検討者」などの独自のセグメントを作成できます。広告技術ソリューション プロバイダがパートナー ネットワークに「自動車購入意向の強いユーザー」に関連する他のウェブサイトを所有している場合、サイト間のユーザーのプライバシーを維持しながら、それらのサイトの訪問者を同じセグメントに追加することもできます。FLEDGE は、パブリッシャーと広告主に直接的な関係がありデータの連携を連携できる、Topics を使用した場合よりもカスタマイズの幅を広くする必要がある広告テクノロジー ソリューションに特に有効です。
- Topics API + Attribution Reporting API: Topics と Attribution Reporting API を組み合わせることで、購入などの特定のコンバージョンにマッピングされるトピックのリストを拡大し、購買意向の強いオーディエンスにリーチするための方法を増やすことができます。たとえば、スキューバ用品の広告を見て購入したユーザーには、「ビーチと島」や「釣り」のトピックが関連付けられていることが多いことが、分析システムや ML システムによって明らかになる場合があります。広告テクノロジー ソリューションはこのインサイトをもとに、この 2 つのトピックに関連するユーザーを選択して「スキューバ ダイビング器具の購買意向の強いオーディエンス」へのリーチを広げることができます。この場合、Attribution Reporting は、トピックとコンバージョンの関連付けに関するノイズを含む集計コンバージョン データを提供することで、ユーザーのプライバシーを保護します。このアプローチは、広告ソリューション プロバイダがコンテキスト データをあまり持っていないが、機械学習や堅牢なデータ サイエンスと分析の機能を備えている場合に有効です。
- コンテキスト データ + アトリビューション レポート API: 広告テクノロジー ソリューションは、広告が表示されるページのコンテキスト分類、広告主と商品の分類、アトリビューション レポートのデータを活用して、特定のタイプの商品やサービスを購入するユーザーが好むサイトの種類の傾向やパターンを明らかにできます。このデータの組み合わせにより、たとえば「ファミリー アクティビティについてのウェブページを見る人は、アウトドア アパレルも購入する意向が強い可能性が高い」といったインサイトが得られることがあります。
こうした方法は、広告テクノロジー ソリューションがクロスサイト ユーザー識別子を使用せずにオーディエンス セグメントをクリエイティブに拡張し、カスタマイズする方法のほんの一部です。自社データなどのより多くのシグナルや、プライバシー保護に関する API の他の組み合わせを統合すると、さらに適切な結果が得られる可能性があります。そのため、広告テクノロジー ソリューションは、オーディエンス構築へのさまざまなアプローチ、固有のデータの保護、優れた機械学習機能の開発によって差別化できます。
リマーケティング
広告主は、現在ウェブサイト訪問時にブラウザにサードパーティ Cookie を設定しており、その Cookie が別のウェブサイトで確認されたときに入札してブラウザに広告を表示するリマーケティングを通じて、ウェブサイトに以前アクセスしたことのあるユーザーに再度リーチすることができます。広告テクノロジー ソリューションは、ウェブサイト全体でのユーザーのアクティビティに基づき、特定のウェブサイトに関するさまざまなリマーケティング セグメントを作成できます。
サードパーティ Cookie が終了しても、広告テクノロジー ソリューションは FLEDGE API を使ってリマーケティングのユースケースに対応できます。
- FLEDGE API: 広告テクノロジー ソリューションは、ユーザーのアクティビティに応じてインタレスト グループを作成することで、特定のサイトに対するカスタマイズされたリマーケティング セグメントを作成できます。前の FLEDGE のユースケースでは、広告テクノロジー ソリューションは複数のウェブサイトから非常に大規模なオーディエンスを構築していました。このユースケースでは、過去の訪問者に再度働きかけようとしているウェブサイトは 1 つだけであり、FLEDGE にプライバシー保護が組み込まれていないため、ウェブサイトでの個人の特定につながるおそれがあります。この API は、効果的なオーディエンス リマーケティングを可能にすると同時に、十分な人数が広告の表示対象となるよう k-匿名性のしきい値を設定することで個人のプライバシーを保護します。
広告主は、サードパーティ Cookie がなくても、プライバシー サンドボックスを通じてリマーケティングのためにサードパーティのウェブサイト全体で自社データを使用できます。
オーディエンス拡張
広告主は、特定のパブリッシャーから見て同じオーディエンス(ただし、そのユーザーが他のウェブサイトにいる場合)に、さらにリーチしたいと望むことがあります。オーディエンス拡張は、パブリッシャーの自社オーディエンスを他のサイトで探すことによって拡張し、同じオーディエンスのフリークエンシーや配信リーチを増やすプロセスです。オーディエンス拡張を使用すると、パブリッシャーは、アフィニティ(ゴルファーなど)やユーザー属性(年齢層など)といったオーディエンス セグメントを広告主に提供でき、広告主は、そのオーディエンスを他のサイトで探せるようになります。オーディエンス拡張は、広告主が小売店のウェブサイトなどで買い物をする消費者にリーチして製品の認知度を高めたい場合にも使用されます。
広告テクノロジー ソリューションを使えば、サードパーティ Cookie なしでパブリッシャーのオーディエンスを拡張できます。
- FLEDGE API: 広告テクノロジー ソリューションは、ウェブサイトの特定のセクション(旅行など)を読むなどのユーザー アクションに応じてインタレスト グループを作成することで、サイトに対するカスタム オーディエンス拡張セグメントを作成できます。このプロセスは事実上リマーケティングと同様であり、同じプライバシー保護を提供するものです。パブリッシャーの自社オーディエンス データを重視していても、そのパブリッシャーのウェブサイトでそのオーディエンスに十分な広告在庫を確保できない広告主に適しています。
機械学習は、プライバシーに配慮したシグナルを用いてどのようにパフォーマンスを最大化できるか
サードパーティ Cookie のサポート終了にあたり、プライバシーに配慮したシグナルと機械学習をどのように使用すれば最善の成果が得られるかを検討することをおすすめします。
自動化で広告主の成果を高める
程度の差こそあれ、大半の広告テクノロジー ソリューションで手動と自動のキャンペーン最適化が提供されています。
手動の度合いが最も高いソリューションでは、広告主は、希望するオーディエンス、プレースメント、入札を指定し、その入力の範囲内に収める必要があります。手動セットアップでは広告主が確実にコントロールすることができますが、パフォーマンスの高いオーディエンスとプレースメントを広告主がすべて把握する必要がある場合、または関係するすべての変数を考慮してインプレッションごとに理論的に最適な入札単価を予測することができない場合、最適ではない結果に陥る可能性があります。
自動化の度合いが最も高いソリューションでは、広告主にとってパフォーマンスの高いオーディエンスとプレースメントや、希望する目標を達成するために適した入札単価を機械学習を使用して見極めるため、希望するビジネス上の成果(コンバージョン単価/売上が 2 ドルなど)を指定することが広告主に求められます。コンバージョン単価/売上が 2 ドルなど)を指定することが広告主に求められます。このセットアップでは、予算と目標以外、広告テクノロジー ソリューションに制約はほぼありません。広告主によるオーディエンスの選択は「提案」や「出発点」として扱われる場合がありますが、機械学習は、人間には判別できないような、利用可能なあらゆるデータの中からパターンを探し出します。
機械学習はこうしたパターンを使用して、さらに関連性の高いオーディエンスを追加し、そのオーディエンスの予測されるパフォーマンスに基づいて入札単価を調整してパフォーマンスを最適化します。プライバシー サンドボックスは、サードパーティ Cookie のサポートが終了した後に機械学習に利用できるさまざまなシグナルソースのうちの一つです。機械学習は、さまざまな時間、キャンペーン、さらには広告主にわたって、すべての最適なオーディエンス、プレースメント、入札単価について継続的に試行と学習を繰り返して広告のパフォーマンスを最大化します。ただ、熟練したチームが実施する高度な分析によって同様の相関を見つけることもできるという点は留意しておくとよいでしょう。
オーディエンス、プレースメント、入札単価を広告主が管理する必要性を減らすことで、広告主の負荷を軽減し、機械学習システムで最善の成果をあげることができます。広告テクノロジーの自動ソリューションに対する投資は、広告主にメリットがあるだけでなく、サードパーティ Cookie からの移行にも役立ちます。
機械学習のためのその他のシグナル
広告テクノロジー ソリューションは、広告を配信するために入札するかどうかを判断する際、常に複数のシグナルを考慮します。クロスサイト Cookie トラッキングがなくなっても、広告テクノロジー ソリューションは、機械学習で利用可能な、プライバシーに配慮したあらゆるシグナルを活用してクリックやコンバージョンなどのビジネス上の成果を予測できます。以下のようなプライバシーに配慮したシグナルは現在過小評価されることもありますが、今後サードパーティ Cookie がなくなると、広告の関連性に大きく貢献する可能性があります。
- 広告クリエイティブの特徴: 広告クリエイティブをコンポーネント レベル(テキスト、画像、デザインなど)で分析すると、広告の主題や、テキストが多く含まれているかどうかなど、特定のオーディエンスや特定のページでのパフォーマンスを予測できることがあります。
- 自社データ: パブリッシャー、マーケター、販売店のネットワークは、販売者定義のオーディエンスなど、自社の識別子とセグメントの構築を進めています。あるサイトにおけるユーザーの長期的な行動を把握することで、クロスサイト プロファイリングを行わなくても、そのサイトでのユーザーまたはセグメントに最適な広告がどのようなものなのかを適切に予測できます。パブリッシャーの自社データを使って、すべての自社サイトにおける入札を改善することができます。サイト固有の入札を改善することで、キャンペーン全体のパフォーマンスを累積的に高めることができます。
広告テクノロジー ソリューションは、コンテキスト データ、クリエイティブ データ、自社データに加えて、機械学習や、プライバシー保護に関する API からのプライバシーに配慮したシグナルなど、利用可能なすべてのツールを組み合わせることで最善の結果を得ることができます。
まとめ
サードパーティ Cookie が段階的に廃止された後、消費者が望むとおりのプライバシー保護を受けられ、同時に広告業界が引き続き関連性の高い広告を配信できることが重要です。プライバシー サンドボックスのような新しいツールでのセットアップは骨が折れることと思いますが、Google は移行期間中も引き続き業界全体をサポートしていきます。
今後、以下の対応をおすすめします。
- サードパーティ Cookie がなくなった後、一般的なインタレスト ベースの広告ユースケースに対応するため、Topics、FLEDGE、Attribution Reporting などのプライバシー保護に関する API を広告テクノロジー ソリューションに追加する投資を行う。
- プライバシーに配慮した他のシグナル(パブリッシャーの自社データを含む)と組み合わせてプライバシー サンドボックスの API をテストし、将来的なパフォーマンスを把握して戦略に活かす。
- プライバシーに配慮した、利用可能なすべてのデータを機械学習で使用できるようにし、学習と最適化の自由度を可能な限り高くしてパフォーマンスを最大限に高めます。
プライバシー サンドボックスの API を使用することで、広告テクノロジー業界はターゲティングと入札に関する多くの重要な機能を備えることができます。一方、このような API のほかにも、プライバシーの保護に関するシグナルを追加で組み込んでまとめて導入することには数多くのメリットがあります。
イノベーションは、デジタル広告業界の DNA に刻まれています。広告の関連性に対する既存のアプローチを進化させることで、サードパーティ Cookie から、今よりもプライバシーに配慮した、パフォーマンスの高いウェブへの移行を成功させることができるのです。